私は、今、長女が3歳の秋、お医者様から「お気の毒ですが、この病気は100人中99人は助からぬといわれているものです。もう今夜一晩よう請け合いません」といわれた晩のことを思い出しております。
脈を握っていると脈がわからなくなってしまいます。いよいよ別れのときかと思っていると、ピクピクッと動いてくれます。やれやれと思う間もなく脈が消えています。体中から血の引いていく思いで、幼い子どもの脈を握りしめていると、かすかに脈が戻ってくれるのです。このようにして、夜半12時を知らせる柱時計の音を聞いた感激。「ああ、とうとうきょう1日、親と子が共に生きさせていただくことができた。でも、今から始まる新しいきょうは?」と思ったあの思い。「ああ、きょうも親子で生きさせていただくことができた」「ああ、きょうも共に生きさせていただけた」というよろこびを重ねて、とうとう新しい年を迎えさせていただくことができた日の感激。