正楽寺日誌 つれづれなるままに

生きる喜びにめざめさせて
くださるのがほとけさま

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 仏さまのお慈悲には四つのおはたらきがあると聞いています。「慈」「悲」「喜」「捨」

の四つです。どんな暗い重い宿業を背負って、その荷の重さに圧しつぶされそうになっている者にも、

生きがいを失ってヤケになっている者にも、劣等感にとりつかれてしょげている者にも、

自信を回復させ、勇気を与え、希望を育て、生きる喜びに目覚めさせてくださるのが仏さまです。

 「泣」という字は、「サンズイ」に「立」という字が添えてあります。

「涙」という字は、「サンズイ」に「戻」という字が添えてあります。

これは、私たちが深い悲しみに出合い、涙に溺れてしまいそうになっているとき、

それがどんなに深い悲しみであっても、必ず「立」ち上がらせずにはおかないという、

仏さまの願いを表わすために「サンズイ」に「立」を添えて「泣」という字にし、

「涙」におし流されてしまおうとする私たちを、必ず、引き「戻」してくださる仏さまの

お心を表わすために「サンズイ」に「戻」を添えて、「涙」という字にしてあるのだと聞いたことがあります。

 これに関連して思い出すのは、『観無量寿経』の中の「諸仏如来は是れ法界の身なり。一切衆生の心想の中に入れ給う」

というおことばです。如来さまは、いつも、私たちの心や想いの中におはいりくださって、私たちをお導きくださっているのです。

私たちが、悲しみの底に溺れて泣いているときには、新しい視点をお与えになって、立ち上がらせ、

悲しみの涙におし流されてしまおうとしているときには、新しい生きがいをお示してくださって、

引き戻してくださるのでしょう。

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