子どもや若者の自殺が続いています。
過日の新聞は、その日、日本各地で6人の中学生・高校生が自殺したことを報道しました。
九条武子夫人のお歌が思い出されます。
見ずや君 あすは散りなん花だにも
力のかぎり ひとときを 咲く
草も木も、虫も魚も、みんな、力いっぱい生きています。
T君も、ある精薄の施設で、短い生涯を、見事に生きぬきました。
彼は、精薄・高血圧・左半身不随・てんかん・心臓の構造異常による度々の激痛の中を生きぬいたのです。
死後発見された彼のノートには、
「母がたずねてきた。
やせてしもて、ほそい体になっていた。
苦労したんやな、ぼくのために。
母ちゃん、許してや。
ぼくがバカやってんな。
許してや、母ちゃん」
と、書き遺されていたといいます。
「ぼくのために」やせてしまったお母さんを憶(おも)うと、どんな病苦にも、激痛にも耐えて生きずにはおれなかったのです。
「五劫思惟(ごこうしゆい)」のご苦労と「願い」の中を生きさせていただく私たちです。
粗末に生きては、申しわけありません。
このことを忘れ、「生きる」ということを粗末にしている私たちが子どもや若者たちを、簡単に、自殺に追いやっているのではないでしょうか。
※「五劫思惟(ごこうしゆい)」とは、阿弥陀さまが私たちを救うために、想像を絶する時間をかけて考えぬかれたことをさします。