お医者さんの薬だけが薬だと思っていたら
ちがった
便所へ行くのにも どこへ行くのにも
点滴台をひきずっていく
一日中の点滴がやっと終り
後の始末をしにきてくれたかわいい看護師さんが
「ご苦労さまでした」
といってくれた
沈んでいる心に
灯がともったようにうれしかった
どんな高価な薬にも優った
いのち全体を甦らせる薬だと思った
そう気がついてみたら
青い空も
月も
星も
花も
秋風も
しごとも
みんな みんな
人間のいのちを養う
仏さまお恵みの
薬だったんだなと
気がつかせてもらった