正楽寺日誌 つれづれなるままに 正楽寺日誌 つれづれなるままに

尊いものを仰ぐ
美しいものに感動

 ある保育園の保母さんが幼な児たちのことばを記録しておられますが、その中に

「ぼくの舌、動け」

というたときは

 もう 動いたあとや

 ぼくより先に

 ぼくの舌 動かすのは

 何や?

というのがありました。五歳の男の子のことばだということでしたが、こんな幼い

子どもにも、人間存在の根底にあり、背後にあり、存在そのものをあらしめている

大いなるものを見る目が、既にちゃんと開かれているのだということに、驚いたことでした。

 そして、それといっしょに、こういう驚き、芽生えを尊いものとして大切にし、

いたわってやってくださっている保母さんのお心を尊く思ったことでした。

 私に、この「大いなるもの」に驚く心が芽生えたのは、K先生に教わっているときでしたから、

小学四年生のときでした。

 朝顔の花が、ほんとに短い時間しか開いておれないのがかわいそうで、一度咲いて

しおれてしまっているのを、ひとつひとつねじって、にせものの蕾をつくってやりました。

もう一度咲かせてやりたかったのです。

 にせものを見破られそうなのもありましたが、ほんものとまちがえて、もう一度

咲きそうに見えるのも幾つかできました。

 翌朝が楽しみでした。

 夜が明けるか明けないかの早朝、とびおきて見に行きました。するとどうでしょうか、

ひとつ残らず、前の日より更に更にみにくくしおれてしまっています。

中には萼(がく)から抜け落ちてしまっているのもあります。

「花はやっぱり知っているんだ!」

「花はやっぱり知っているんだ!」

と叫ばずにはいられませんでした。

 それから、五年生のときでした。友だちと二人、学校から帰る途中の田舎道でした。

秋だったのでしょう。ほんとに空が澄んでいました。

「あの青い空、ずうっと、ずうっと、ずうっとのばっていったら、もうこれから

先はのばれんという空の天井があるんだろうな?」

「いや、天井なんてないんだって、どこまでいっても、どこまでいっても空なんだって」

「そこを、もっともっともっともっと行くんだ、そしたら、もうこれでおしまい

という天井があるにちがいないと思うんだ」

「いや、どこまでいっても、どこまでいっても空なんだ、それを無限っていうんだ」

「おかしいな!無限だなんておかしいな!」

「不思議だな!無限だなんて不思議だな!」

二人で見上げる空は、ほんとに美しく澄んでいました。無限の空の底を二人の子ども

が歩いている、そのことがまた妙に不思議だったあの思いを、あれから五十数年

も生きさせてもらった今も、忘れることができません。

 

おとせばこわれるいのちだからこそ
このいのちが尊い

おとせば

こわれる 茶碗

いますぐにでもこわれる茶碗

 

おとせば

こわれる いのち

いますぐにでも こわれるいのち

 

でも

それだからこそ

この茶碗のいのちが 尊い

それだからこそ

この わたしのいのちが

いとしい

たまらなく

いとしい

 

こわれずに いま

ここにあることが

ただごとでなく

うれしい

 

だだごとでなく

ありがたい。

力をぬいたとたん
世界がひらける

 私が、若い頃読みふけつた懐かしい書物の中の一冊に、出隆(いでたかし)先生の『哲学以前』

があります。出隆先生は、哲学者であられるとともに、「神伝流」の水泳の達人でもあられたと聞いています。

 その出隆先生が、何かに「水泳」のことをお書きになっていました。「水は、人間を浮かせるだけの浮力をもっている。

しかるに、人間が溺れるというのは、心の重みで溺れるのである。だから、溺れた人というのは、『こんな所で…』

と思われるほど、浅い所で溺れている。結局、水の浮力に足をとられてあわててしまい、その心の重みで溺れたのである。

心を無にして、身も心も水に預ければ、自分の力を使わなくてもおのずから浮かぶ」というような内容の文章でした。

 出隆先生の、「心を無にして、身も心も水の浮力に預ければ、おのずから浮かぶ」というお言葉は、

親鸞聖人が「如来の本願力に乗託すれば、おのずから然(し)からしむる自然法爾(じねんほうに)の世界を恵まれる」

とお教えくださっていることにも通じているように思います。またそれは、私が子どもの日、あの熱くて熱くてたまらなかった

お灸の熱さが、「きばり心」を抜いたとたん、あんな快い安らぎの世界に変わったことにも、つながっている気がするのです。

 私は、初め、お灸の熱さに負けまいとする「きばり心」の重みで、熱さの底に沈み、熱さの苦しみに溺れていたのです。

それが「きばり心」を捨てたとたん、熱さが苦にならない世界に浮かせてもらったのです。

正楽寺の風景⑦

2020.06.08撮影@川崎正楽寺

境内の石榴の木に花がたくさん
つきはじめました

カタチが
タコさんウインナー🐙に似ていて

とても可愛いです^^

今年はどれだけ実るかな?

 

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正楽寺の風景⑥

2020.06.09撮影@川崎正楽寺
 
関東も梅雨入りですね
 
かと思えば
沖縄は梅雨明けだとか
 
世界からみたら
日本は小さな島国のように思いますが
こんなにも違うのか

改めて驚きます
 
梅雨といえば…
 
紫陽花!
. 
拙寺の紫陽花
今年は小ぶりですが

色とりどりに
元気に咲いています^^
 
私は
昨日から熱中症の症状が
 
季節の変わり目
皆さま
どうぞお大事にお過ごしください

 

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