先日、新元号が発表されました。
「平成」の時代も残りわずか、「令和」という、新しい時代を迎えます。
「令和」は万葉集の和歌から引用され、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味が込められていると
首相談話にありました。
「文化が生まれ育つ」とは、新しい文化が育つことはもちろんですが、これまでの日本文化を見直す、
ということにも当たるのではないかと思いました。
日本文化を見直す、ということは、これまで脈々と受け継がれてきた先人たちの知恵や心の育みを改めて大切にさせていただく、
ということに当たりましょう。
心の育みの一つには「今、生かされている私の生命に気付かせていただく」ということがあります。
新元号に用いられている「和」は仏教用語でも用いられています。
その一つが「和顔愛語」です。
この「和顔愛語」は平成二十八年に皆様と団体参拝致しました伝灯奉告法要の際、
ご門主様の御親教(ご法話)にも取り上げられました。
この御親教の中では浄土真宗に縁をいただく私たちが現実生活の中で実践できる一例として示されています。
本来は、阿弥陀様が如来(仏)となられる前の法蔵菩薩であったときの修行の一つであり、
他者に接する時は、穏やかな表情で接し、常に優しい言葉をかける生き方のことを指します。
とても素晴らしい生き方であり、私たちも普段、「気をつけましょう」と言われているようなことかもしれません。
ですが、実際の私たちは不機嫌になったり、腹を立てたり、自分の感情に振り回されてばかりで、
中々、和顔愛語の姿勢を貫くことが難しい身であります。
そのような私が阿弥陀様のみ教えと出遇い、お育てにあずかることによって、
穏やかな表情や心からの優しい言葉が生まれるというのが浄土真宗です。
もちろん、穏やかな表情や優しい言葉はすぐに身につくというものではないかもしれませんが、
ご門主様は和顔愛語という生き方を勧められ、
「たとえ、それが仏様の真似事といわれようとも、ありのままの真実に教え導かれて、
そのように志して生きる人間に育てられるのです」とお示し下さいました。
新しい時代を迎えるにあたり、和顔愛語の心持ちで、
改めて「和」する時代、皆様と心の豊かさを育む時代を迎えさせていただきたいと思います。